本の場

名古屋市志段味図書館「みんなのがん教室」のあゆみ ― 「がん×図書館×地域」の豊かな可能性

Posted by local knowledge on February 9th, 2024

2024年1月28日(日)午後、「本の場」MCの今井は武庫川女子大学の川崎安子さんと一緒に名古屋市志段味図書館の「みんなのがん教室」に参加しました。「わたしらしく生きていくために」と題されたこの日の「がん教室」では、医療用ウィッグ訪問サロンの経営者の方とリンパ浮腫当事者の方のお二人が話されました。

参加者は会場一杯の老若男女30人ほど、医療用ウィッグのパートでは種類の異なるウィッグの実物が順番に回ってきて手触りの違いが確かめられ(実際に被ってみることもできました)、後半のリンパ浮腫のお話では当事者のご経験に対して参加者からさまざまな声や補足情報があがる活発な場面も見られました。複数の親子連れが参加されていたのも印象的で、最前列で熱心にメモを取っていた小学生はしっかり質問まで。イベント終了後にはそこここで自然な交流が生まれ、初参加の私たちもいろんな方とお話しすることができました。

志段味図書館の「みんなのがん教室」は2022年度から始まって今回が22回目、毎月一回日曜日の午後に開かれています。がん当事者の方の体験談のほか、さまざまな専門家の方が緩和ケア、在宅医療、グリーフケア、治療法、お金のこと等々、多岐にわたるテーマでお話しされています。参加者がのちのち登壇者になるといったケースもあるそうで、教える側と教わる側とがいつでも交代可能な「教え合う」雰囲気や図書館ならではの参加者の多様性に接して、これは理想的な生涯学習のあり方だ!と深く感銘を受けました。

この「みんなのがん教室」の企画者である彦田かな子さんはご自身ががんサバイバーで、学校でのがん教育を全国に定着させることを最終目標と見定めて精力的に活動されています。公共図書館での「がん教室」開催はその目標のための種まきなのだそうで、「目標を達成するためには私は80歳まで元気でいなくちゃならないのよ!」と笑っておられました。底抜けに明るくパワフルな彦田さんの醸しだす空気が、くつろいで労わり合うようなこのイベントの雰囲気を支えているものと見受けられました。

2月15日の「本の場」では、志段味図書館館長の藤坂康司さんから、丸2年が経とうとしている「みんなのがん教室」の取組みについて、その当初の目論見や継続開催してきて得られた知見をお話しいただきます。ゲストとして彦田さんもお招きし、「がん×図書館×地域」の豊かな実践とこれから目指される将来像について、思いのたけを存分に語っていただきます。

「みんなのがん教室」が全国の公共図書館へ広まっていくためのきっかけを少しでもご提供できればと思います。

本イベントに関連する藤坂さんお薦めの一冊

社会的処方: 孤立という病を地域のつながりで治す方法

社会的処方: 孤立という病を地域のつながりで治す方法

著者:西 智弘、藤岡 聡子、横山 太郎、守本 陽一、森田 洋之、井階 友貴

出版社:学芸出版社

発売日:2020/2/1

2,200円(amazon.co.jp 2024年2月5日時点)

開催概要

イベント名称名古屋市志段味図書館「みんなのがん教室」のあゆみ ― 「がん×図書館×地域」の豊かな可能性
開催日時2024/2/15(木)19:30~21:00
※お申込みいただいたみなさま全員に見逃し配信を行います。イベント終了後一両日中にはアーカイブ動画配信を開始し、約1週間のあいだご視聴いただけます。
話題提供者藤坂康司(ふじさかこうじ)
名古屋市志段味図書館 館長
ゲスト彦田かな子(ひこだかなこ)
がん哲学外来シャチホコ記念Cafe 代表
イベント形態Zoomミーティングを利用したオンラインイベントです。
※お申込みいただいた方および「ローカルナレッジ」月額サブスクリプションメンバーの方には、参加URLを事前にメールにてお送りします。
参加料400円(税込)
※月額サブスクリプションメンバーは不要
参加方法このウェビナー(Webinar)のみ申し込む
または月額500円(税込)のサブスクリプション サブスクリプションに登録する
※サブスクリプションメンバーは月額500円のお支払いだけで、毎月3〜4回実施される「ローカルナレッジ」が開催する全ての有料セミナーに参加可能です。
購入期限チケットの購入期限は当日2月15日の18:00までとさせていただきます。
主催本棚演算株式会社
※プログラムの内容・時間などは予告なく変更となる可能性があります。ご了承ください。
藤坂康司(ふじさかこうじ)
藤坂康司(ふじさかこうじ)

広島県呉市出身。書店(株式会社フタバ図書、丸善株式会社)、出版社(株式会社偕成社)に勤めた後、2020年2月より名古屋市志段味図書館館長(統括責任者)・司書として勤務。現在は名古屋市守山図書館館長も兼任。指定管理者「名古屋TRC・長谷工グループ」所属。

彦田かな子(ひこだかなこ)
彦田かな子(ひこだかなこ)

2014年に乳がんに罹患して以降、がんに関するさまざまな活動を展開。がん哲学外来メディカルカフェシャチホコ記念café代表。愛知県がんのピア・サポーター養成講座研修修了。全がん連がん教育外部講師e-ラーニング修了。がんサポートかごしまいのちの語り手講座修了。がん哲学外来コーディネーター。がん哲学外来学会員。日本癌治療学会学術集会第56回PALプログラム優秀ポスター賞受賞。令和5年度愛知県教育委員会地域コーディネーター講座全講受講済。2020年よりがん教育授業を愛知県・岐阜県にて約40校6900人に対して実施。2021年3月より名古屋市立守山・志段味図書館藤坂館長と図書館での「みんなのがん教室」を定期開催中。