島薗塾

【島薗進氏による私塾】あなた自身の死生観のために
〜第2回:音楽・うたから探る日本人の死生観と自身の死生観

Posted by local knowledge on February 13th, 2024

宗教学者・島薗進氏のオンライン私塾の第3シリーズ「あなた自身の死生観のために」、第2回は「音楽・うたから探る日本人の死生観と自身の死生観」と題して、薬師山病院(京都市北区)の音楽療法士である岡下晶子さんをお迎えします。

メインスピーカーである島薗進氏の今回の講義に対するコメントです。

 現代日本のスピリチュアルケアにおいて、音楽が占める位置は小さくない。いのちの危機や深い喪失に直面したとき、人は音楽、とりわけうたによって慰められ、元気づけられることが少なくない。
 うたといえば、「故郷」のような唱歌、「あかとんぼ」のような童謡、「川の流れのように」のような歌謡曲、「ロン ドンデリーの歌(ダニー・ボーイ)」のような外国民謡、「明日にかける橋」のようなポップス、「アメイジンググレイス」のようなゴスペル、藤井風「帰ろう」のような現代ミュージック(?)まで、さまざまなうたが思い浮かぶ。
 このリストは数限りないほどに広がっていく。その歌詞を見ると、そこには死生観に通じるものが豊かに宿されている。私自身は音楽とうたが好きであり、死の床で聞く音楽・うたのリストを早く作らなければ、と思っている。
 現代のスピリチュアリティケアの現場で、音楽・うたはどのように機能しているのだろうか。長くエンドオブライフケアの音楽療法に携わり、上智大学グリーフケア研究所の講師も務めて来られた岡下晶子先生のお話をうかがい、ともに考えていきたい。

ゲストの岡下晶子さんからは以下のコメントをいただきました。

 皆様は、心に残る音楽がありますか?それはなぜですか?
 どんな光景が目に浮かびますか?その時の感情は?
 どんな時に、その音楽を聴きたくなるでしょうか?……

 誰しも日常の中で、生きている中で、さまざまに音楽に触れているのではないでしょうか。
 私は、ホスピス緩和ケアでの音楽療法に携わり23年が経ちました。多くの患者様、ご家族との出会いの中で、日々音楽を通しての尊い経験をさせていただいています。その方が今なぜその曲を選ばれるのか、なぜ今その曲を聴きたいと言われるのか…そこにはその方がここまで生きて来られた証が込められているように思います。残された時間が少なくなった時、人はそれまでの生き方や大事にしてきたものをふり返り、いつくしみます。また、思いや気持ちを、その音楽に託して伝えられることもあります。音楽は、心の奥底、私たちを超えた大いなるもの…スピリチュアリティに触れます。音楽でこそできること、音楽にしかできないことがあると思います。それが、スピリチュアルなケアに繋がると考えています。これまでに出会わせていただいた方々とのエピソードを少しご紹介しながら、皆様とともに、生きること、死ぬこと、そしてそこに音楽がどのように関わるのかを考えてみたいと思います。
 コロナ禍により、医療の現場は大きな混乱と困難を経験しました。それはホスピス緩和ケアも例外ではなく、その影響は今なお続いています。音楽療法士として、またボランティアコーディネーターとして、私の知る範囲はごく限られたものですが、現状を少々お伝えし、これからの在り方をともにディスカッションさせていただければ幸いです。
 このような貴重な機会をお与えくださいました島薗先生、皆様に心より感謝申し上げます。

開催概要

イベント名称【島薗進氏による私塾】あなた自身の死生観のために
第2回:音楽・うたから探る日本人の死生観と自身の死生観
開催日時2024/2/22(木)19:00~21:00
※今回は、動画アーカイブ配信はございません。
プログラム19:00 島薗氏によるトーク
19:40 岡下氏によるトーク
20:30 休憩
20:40 ダイアログ/質疑応答
話題提供者島薗 進(しまぞの すすむ)
大正大学地域構想研究所客員教授
ゲスト岡下晶子(おかした・あきこ)
薬師山病院 音楽療法士・ボランティア担当
イベント形態Zoomミーティングを利用したオンラインイベントです。
※お申込みいただいた方および「ローカルナレッジ」月額サブスクリプションメンバーの方には、参加URLを事前にメールにてお送りします。
参加料1,500円(税込)
※月額サブスクリプションメンバーは不要
参加方法このウェビナー(Webinar)のみ申し込む
または月額500円(税込)のサブスクリプション サブスクリプションに登録する
※サブスクリプションメンバーは月額500円のお支払いだけで、毎月3〜4回実施される「ローカルナレッジ」が開催する全ての有料セミナーに参加可能です。
購入期限チケットの購入期限は当日2月22日の18:00までとさせていただきます。
主催ローカルナレッジ編集部(スタイル株式会社)
※プログラムの内容・時間などは予告なく変更となる可能性があります。ご了承ください。
島薗 進(しまぞの・すすむ)
島薗 進(しまぞの すすむ)

1948年東京都生まれ。東京大学文学部宗教学科卒業。同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学名誉教授。上智大学グリーフケア研究所所長を経て、大正大学地域構想研究所客員教授。おもな研究領域は、近代日本宗教史、宗教理論、死生学。『宗教学の名著30』(筑摩書房)、『宗教ってなんだろう?』(平凡社)、『ともに悲嘆を生きる』(朝日選書)、『日本仏教の社会倫理』(岩波書店)など著書多数。

岡下晶子(おかした・あきこ)
岡下晶子(おかした・あきこ)

薬師山病院 音楽療法士・ボランティア担当
同志社女子大学学芸学部音楽学科ピアノ専攻卒業。聖学院大学大学院人間福祉学研究科修士課程修了。 現在、薬師山病院にて患者・家族を対象に音楽療法を行っている。公認心理師、日本音楽療法学会認定・音楽療法士、日本スピリチュアルケア学会認定・スピリチュアルケア師(指導)。上智大学グリーフケア研究所非常勤講師。