Local Knowledge MeetUp Spring 2024
1995年の阪神淡路大震災から今年2024年の能登半島地震までに起きた激甚災害は、単なる局所的な自然災害にとどまらず、日本全体の様々な脆弱性を一気に露呈させました。特に元旦に発生した能登半島地震は、今後日本が数10年かけて経験することになっていたはずの“緩慢な死”をわずか1日で再現してしまった出来事だった、と考えることができます。
今日本に求められているのは、震災からの復旧ではなく「全く新しい復興」ではないでしょうか。そしてその実体は、故・宇沢弘文氏が提唱した社会的共通資本を、各地域・各現場の試行錯誤によって再生或いは創生していくことだと考えられます。
4月26日(金)に行なう「Local Knowledge MeetUp Spring 2024」はこの「新しい復興」がどのようなものであるべきなのかを探る1日だけのミートアップです。魅力的な提言に溢れた書籍の著者、現場の専門家が登場します。奮ってご参加ください。
Programプログラム
13:00〜14:00
社会は科学と上手くつきあっているか ― 震災をめぐる「予測」と「想定」
いつどこで大地震が発生するのか、現在の科学で正確に「予知」することはできません。けれど、どこでどのような地震がどのくらいの確率で発生しそうかの「予測」と、その「予測」がどのような調査や理論を根拠としているのかについて、科学は常に明確に説明することができます。その科学的な説明を、私たちの社会は正しく受けとめ、より実効性のある防災・減災に結びつけることができているでしょうか。
今回の能登地震の発生や生じた災害の状況を、科学はどのように「予測」し、社会はどう「想定」していたのでしょう。科学史科学哲学の泰斗・村上陽一郎さんと自然地理学・活断層学がご専門の鈴木康弘さんとでお話しいただきます。
14:00〜15:00
建築家、ゴリラ学を学ぶ ― 人類史の知見を活かした復興と再生を考える
建築家・山本理顕さんが能登地震の復興に関わっていくにあたって、ぜひお話ししてみたいとお名前を挙げられたのがゴリラの山極壽一さんでした。人類の進化の歴史に則った、人間の本性に適った住まい方やまちづくりとはどのようなものか、山極さんの専門知を山本さんが直接消化吸収されていく稀有な対話が展開します。
15:10~16:40
生活基盤を完全に失わせた大噴火災害からの創造的復興:アエタ族の生存戦略『アエタ 灰のなかの未来:大噴火と創造的復興の写真民族誌』を中心に
最大の自然災害である大規模噴火災害によって完全に生活基盤を失いながらも、見事に蘇り創造的な復興を遂げたフィリピン先住民。社会の現実に強くコミットする「応答の人類学」を実践し、彼らに文字通り寄り添ってきた人類学の泰斗と、その危機対応力の秘密を考えます。
16:50~18:50
「はやぶさ2」は何を持ち帰ったのか
太陽系はどのように誕生し、なぜ地球は海に覆われ生命を育むようになったのでしょうか。この疑問に答えるべく、地球から3億キロの彼方にある直径わずか900mの小惑星リュウグウへ到達し、サンプルリターンを果たしたのが「はやぶさ2」です。そしてそこには「太陽系の始まりの記憶」が閉じ込められていたのです。つまり「はやぶさ2」は日本の科学技術力を結集させ宇宙生命科学(Astrobiology)の最先端にチャレンジした記録でもあります。「リュウグウの石」から発せられたのはどんな“声”で、そこにどのような物質の知性が潜んでいたのかを解説します。
東京大学 大学院理学系研究科宇宙惑星科学機構 教授/JAXA宇宙科学研究所特任教授
1973年石川県生まれ。1997年、大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻博士課程を修了。宇宙科学研究所太陽系科学研究系客員准教授、北海道大学大学院理学研究院自然史科学部門准教授 などを経て現職。小惑星探査機「はやぶさ2」のサンプリング装置の開発に対して、2020 年度 宇宙工学部門 部門賞宇宙賞(日本機械学会)を受賞。著書に『星くずたちの記憶――銀河から太陽系への物語』、『「はやぶさ2」は何を持ち帰ったのかーリュウグウの石の声を聴く』、『鉄学137億年の宇宙誌(共著)』(以上、岩浪科学ライブラリー)、「地球・惑星・生命」(共編)(東京大学出版会)など。
19:00~22:00
災害と宗教とボランティア ― 地域再生におけるお寺・神社・教会の可能性
「ローカルナレッジ」は、ローカルな、地域に根差した身体的なナレッジに着目して企画運営を行っています。「Local Knowledge MeetUp Spring 2024 いま考える『地域主権』と『新しい復興』」の最後のセッションでは、宗教学者・島薗進さんを案内役として、地域において災害や貧困を生き延びるための拠りどころたろうと長年活動されている宗教者・宗教団体の方々をお招きし、災害と宗教とボランティアについてみなさんと一緒に話し合います。
Overview開催概要
- イベント名称
- Local Knowledge MeetUp Spring 2024
いま考える「地域主権」と「新しい復興」 - 開催日時
- 2024年4月26日(金)13:00〜21:00(予定)
- 開催方法
- Zoom Webinarsを利用したオンライン開催です。
お申込みいただいた方に参加用URLをメールにてお送りします。
参加登録はこちら - 参加費
- 無料
- 主催
- ローカルナレッジ編集委員会(スタイル株式会社、本棚演算株式会社)
- 協力
- 一般社団法人・京都大学学術出版会
- 後援
- 京都大学 東南アジア地域研究研究所
- お問い合わせ
- ローカルナレッジ編集部(スタイル株式会社)