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改修、改良、解体、そして再構築

Photo :都市の空撮 建設現場 / metamorworks / Adobe Stock

Posted by local knowledge on July 16th, 2024

ヨーロッパの建物は「石」、それに対して日本の建物は「木」で作るのが基本です。「石」は丈夫で長持ちしますが、簡単に設計変更するのはなかなか難しい。一方、「木」は時々の状況に応じて増築や改築が容易ですが、長持ちしません。どちらにも一長一短あるわけですが、少なくとも日本の場合はスクラップ アンド ビルド (scrap and build)が基本のはずです。ところが、戦後の深刻な住宅不足を解消するために、1951年に策定された公営住宅標準設計案(いわゆる51C)に則る形で、鉄筋による高層化、標準化による効率化、低コストで衛生的な住宅群が続々と建設されます。現在、それら構造物の老朽化が社会問題になっているにもかかわらず、一方ではバルブ期に企画されたタワーマンションの建設が相も変わらず続いていて、運用目的の購入者だけで占められた晴海フラッグのような住宅も登場する始末です。

これらマンション群が不思議なのは「建て替えることを想定していない」ことに尽きる、と思うのですね。「いや、日本には旧赤坂プリンスホテルを解体したときのような優れた解体技術がある」という話しではありません。所有権の譲渡・賃貸者の権利・(しかるべき時期の)再開発という発想が新築時にパッケージされるべきだと思うのですが、その辺りが非常に杜撰なのが日本のディペロッパーの特徴ではないかなとすら思います。日本の気候風土あるいはメンタリティのようなものに寄り添う「改修、改良、解体再構築」を制度設計の観点から、そして少子高齢化社会における地域コミュニティ支援、あるいは自然災害対策という視点から作るべきだと思います。本日の松村先生の講義「新築至上主義の終焉ー建築の寿命について考える」はその辺りにも言及していただけるはずだと思います。みなさんぜひご参加ください。
https://www.localknowledge.jp/2024/07/1463/

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