島薗塾

【島薗進氏による私塾】あなた自身の死生観のために
第4回:医療者の新たな役割と宗教者の死生観

Posted by local knowledge on August 26th, 2024

宗教学者・島薗進氏のオンライン私塾の第3シリーズ「あなた自身の死生観のために」、第4回は「医療者の新たな役割と宗教者の死生観」と題して、愛野記念病院 呼吸器内科/緩和ケア内科 医師・臨床宗教師の原 信太郞さんをお迎えします。

メインスピーカーである島薗進氏の今回の講義に対するコメントです。

医療現場で医師や看護師は患者や家族とともに死と向き合うことを求められる。そこであらためて自らの死生観を問う。このような例が増えてきている。他方、そうした場にこそ宗教者がいてほしいという声も聞かれる。日本の病院にはチャプレンがいないのがふつうだが、新たに臨床宗教師がそこにいて、死に向き合う患者さんや家族、また、医療スタッフを支える役割を果たしていく可能性はないか。東日本大震災の後、こうした声が高まり、日本臨床宗教師会が立ち上げられている。現在、臨床宗教師は僧侶や神父・牧師、協会長などの宗教者が主だが、医師であるとともに宗教者でもある臨床宗教師も数は多くないが存在する。そうした臨床宗教師のひとりである原信太郎さんをお招きし、医療現場での、また小中学生や市民に向けた講座など対社会的な場での活動についてお話しいただく。その積み重ねの先には「コンパッション都市」の可能性も展望されている。死生観を、また、宗教やスピリチュアリティを遠ざけてきた日本の医療現場に新たな息吹を吹き込んでいるその実践についてうかがうことになる、

ゲストの原 信太郎さんからは以下の講義タイトルとコメントをいただきました。

講題:医療と宗教の両視点から対社会への働きを考える

呼吸器内科専門医としてコロナ診療の最前線に携わっています。緩和ケア医として多くのいのちと向き合い、多職種が協働して自分らしく生きることを支える役割を担っています。そして臨床宗教師として、苦悩や悲嘆を抱える人々の声に耳を傾けています。病で苦しむ人たちとだけではなく、小中学生への「いのちの授業」で、あるいは地域の一般市民向け「人生会議」の公開講座で、老若男女といのちを見つめ語り合ってきました。医療者や医学生への実践講演も行っています。

苦しむ人に手を差し伸べたいという慈愛(コンパッション)と、苦しみを受け止めそれを乗り越える力(レジリエンス)は、全ての人間が元来持ち合わせている能力です。社会の人々皆が当たり前に苦しむ人に手を差し伸べられ、自らも苦難に向き合い乗り越えて行けるような社会、「コンパッション都市」の概念を紹介し、医師で宗教師という2つの顔をもつ私の視点を提供しながら、臨床の現場や公共空間で果たす医療と宗教の役割や働きについて、皆様と共に模索したいと思います。

開催概要

イベント名称【島薗進氏による私塾】あなた自身の死生観のために
第4回:医療者の新たな役割と宗教者の死生観
開催日時2024/9/6(金)19:00~21:00
※動画アーカイブ配信はございません。
プログラム19:00 島薗氏によるトーク
19:40 原氏によるトーク
20:30 休憩
20:40 ダイアログ/質疑応答
話題提供者島薗 進(しまぞの・すすむ)
大正大学地域構想研究所客員教授
ゲスト原 信太郞(はら・しんたろう)
愛野記念病院 呼吸器内科/緩和ケア内科、緩和ケアチーム「すずらん」チーフ
一般社団法人日本臨床宗教師会認定臨床宗教師
長崎大学医学部 非常勤講師
イベント形態Zoomミーティングを利用したオンラインイベントです。
※お申込みいただいた方および「ローカルナレッジ」月額サブスクリプションメンバーの方には、参加URLを事前にメールにてお送りします。
参加料1,500円(税込)
※月額サブスクリプションメンバーは不要
参加方法このウェビナー(Webinar)のみ申し込む
または月額500円(税込)のサブスクリプション サブスクリプションに登録する
※サブスクリプションメンバーは月額500円のお支払いだけで、毎月複数回実施される「ローカルナレッジ」が開催する全ての有料セミナーに参加可能です。
購入期限チケットの購入期限は当日9月6日の18:00までとさせていただきます。
主催ローカルナレッジ編集部(スタイル株式会社)
※プログラムの内容・時間などは予告なく変更となる可能性があります。ご了承ください。
島薗 進(しまぞの・すすむ)
島薗 進 (しまぞの・すすむ)

1948年東京都生まれ。東京大学文学部宗教学科卒業。同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学名誉教授。上智大学グリーフケア研究所所長を経て、大正大学地域構想研究所客員教授。おもな研究領域は、近代日本宗教史、宗教理論、死生学。『宗教学の名著30』(筑摩書房)、『宗教ってなんだろう?』(平凡社)、『ともに悲嘆を生きる』(朝日選書)、『日本仏教の社会倫理』(岩波書店)など著書多数。

原信太郞(はら・信太郞)
原 信太郞 (はら・しんたろう)

愛野記念病院 呼吸器内科/緩和ケア内科、緩和ケアチーム「すずらん」チーフ
一般社団法人日本臨床宗教師会認定臨床宗教師 
長崎大学医学部 非常勤講師

2004年 長崎大学医学部卒業。長崎大学病院初期研修
2006年 長崎大学第二内科入局(呼吸器内科・びまん性肺疾患グループ)
2011年 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 博士課程修了
2012年 長崎大学病院 医療教育開発センター 助教
2016年 金光教学院卒業 宗教師(金光教教師)になる
2016年 愛野記念病院入職
現職 愛野記念病院 呼吸器内科/緩和ケア内科、緩和ケアチーム「すずらん」チーフ
   一般社団法人日本臨床宗教師会認定臨床宗教師 
   長崎大学医学部 非常勤講師