死生観とグリーフケア
View of Life and Death and Grief Care
それまでも国家としての、あるいはさまざまな宗教における死生観なるものは存在していましたが、“日本人としての”死生観が芽生え始めたのは、国家の近代化が加速する明治後半のことでした。つまり世界の中における日本が意識され始め、世界に日本を説明する必要性が生じてきた頃です。そしてこの頃から死生観が少しづつ個人化してきます。集団で生きている時代には盲目的に受けれていた宗教に基づく死生観が少しづつ溶けてきた。そうなると死や生きていることの意味を個人が確かめなければならなくなってくる。個として生と死の意味を考えようとすると、逆説的ですが、自分が故郷をはじめとするさまざまな自然や他者とつながっていることを発見し、他者との連帯感や愛は個人の命を超えた共通の命の存在を確信させてくれます。この具体的な形がグリーフケアです。グリーフケアは豊かな死生観を育むための活動でもあるのです。